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2006-01-13

オランダの巨匠?

『天国の発見(下)』 ハリー・ムリシュ/長山さき訳 バジリコ

ten 2年越しでよんだ上下巻。
 巻末の著者略歴によれば「戦後のオランダを代表する三大作家の1人で、ノーベル賞候補にも名を連ねる」とのこと。上巻の帯では「欧州現代文学の最高の果実」とあり、最初は身構えたが、読んでみればこれはまず第一に壮大なエンターティメントだ。
 肌触りは『ガープの世界』プラス『薔薇の名前』といった感じだろうか。最後の第4部は『ダ・ヴィンチ・コード』ばりの派手な展開で、結末まで一気に流れ込む。

 ただし、少し長い。

 訳者はあとがきで、「プロローグの会話が唐突で難解であるため、読み続ける気力を失いかける」ので、そこは読み飛ばしてでも本編を読んでほしい、そうすればたちまちおもしろさに引き込まれる、と述べているが、僕の感じ方はむしろ逆だ。
 本編の外枠となっているこの天使どうしの会話によるプロローグがなければ、この物語を読み切ることはできなかっただろう。彼らに再会することを(というより、彼らと本編の物語との関係が少しでも明らかになってくれることを)楽しみに、第1部を読んだ。
 第1部と第2部の間で彼らに再会して、彼らがこの物語の中で何をしているのかが少し見通せるようになってからは、本編自体が推進力を持つ。

 ユダヤ教、キリスト教やイスラム教に関するそれはともかくとして、オランダ現代史、政治史に関する知識はないとつらい箇所がときどきある。その辺り、翻訳では何らかの工夫ができなかったものか。主人公の1人オノが政治にかかわっていく部分では状況がのみ込めず、読むのに手間取った。

 とはいえ、ほぼ同じ長さの全4章からなる物語は第2章に入る辺りから盛り上がりはじめ、下巻では劇的な展開から驚きの結末へ。

 時間のある方はぜひ(笑)。

 評価は★★★★

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