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2005-11-21

異色作家が推す異色作家

三匹のヤギの 『どんがらがん』 アブラム・デイヴィッドスン/殊能将之編 河出書房新社

 21日読了。

 本当にこのところのSF出版の充実ぶりはうれしい限り。幸せすぎて恐い(笑)。
 ただし、そのおかげでこっちはSFの新刊を追いかけるのに一杯いっぱい(っつーか、追いかけ切れていないが)で、他の本が読めない。
 このSF出版ブームの中で中心的な役割を果たしているといっても過言でない河出書房「奇想コレクション」の、これは最新刊にして、僕個人の中ではラインナップ中最大の目玉。
 異色ということでは日本ミステリ界屈指の作家・殊能将之が「最も偏愛」する異色作家の短編集だ。
 スタイリッシュかと思うと泥臭く、詩情溢れるかと思うとスラップスティック。全盛期の浅田次郎のような実によくバランスの取れた泣かせ話やら、タイトルのつけ方が(タイトルが、ではない)実に粋な、ミステリのお手本のような話があると思うと、ケツが青いと言ってもよいくらいヒューマニスティックな主張が前面に出た作品もある。読者を笑わせたいのか、怒らせたいのか、ケムに巻きたいのか判然とせず、とりあえず笑ってみたけど、笑ったのは自分だけで、その笑い声に自分でビックリした、みたいな話とか…。
 とにかく一筋縄ではいかない作家だ。

 「日本でこの作家の著書が出版されるのは、『10月3日の目撃者』(村上実子訳、ソノラマ文庫海外シリーズ、1984)以来、およそ20年ぶり」(編者の解説)とのことで、『10月の目撃者』にどんな作品が収録されていたのかは分からないが、ソノラマ文庫から出ていたというのが、驚きでもあり、作品によっては実にしっくりくるようでもある。

 …てなことを書きながら、わが書棚を眺めていたら、な、なんと! 僕は『10月3日の目撃者』を持っているではないか! 著者名の表記が「エイブラム・ディヴィドスン」(しかも奥付では微妙に違って「エイラム・ディヴィドスン」)となっていたからか、「アブラム」という聞きなれない響きの名前と同一人物とは思わなかった、と言い訳しておこう。
 積読本をどんどん消化して新刊を買いたいところなのに、また読みたい本が蔵書の中から発掘されてしまった。

 忘れるところだった、評価は(★★★★★に近い)★★★★。

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