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2005-11-09

歌う卒業式

 僕が通っていた新潟県のとある小学校の卒業式はちょっと変わっていた。
 式の初めから終わりまで(校長・来賓の祝辞、卒業証書授与を除いて)、

 すべて歌で進行するのだ。

 進行役の先生が「開会」を宣言すると、すぐさまピアノの前奏から全校児童による合唱、1・2年生による卒業生へのお祝いの歌、3・4・5年生による以下同文、先生の歌と続き、最後に卒業生が先生や父母への感謝を歌って終了という流れ。
 
 卒業式のシーズンが近づくと、音楽の時間はもちろん、毎日のように全校児童が体育館に集まって「予行演習」をやらされた。
 当時はこの時間が本当に嫌いだった。遊んでもらった覚えなど一度もないのに、
 「仲良く遊んでくーださったー、6年生のお兄さん」
 
 などと、何度も何度も歌わされるし、在校生がワンコーラス歌うたびに、卒業生からは
 「あーりがとう、君たち、あーりーがとーう」
 
というフレーズが返ってくるのだ。

 いや、まあ、儀式というのはそういうものだろうと、子ども心にも分かっていたし、そういう押しつけがましさを批判しようとか、そういうつもりは全くないが、とにかく何度も練習させられるのがいやだった。
 いまとなってはただ懐かしいだけだけれども。

 で、話は例によってようやくここから始まるのだが、母校の卒業式がそういうものであったことは、長いこと記憶のそこに沈んでいたのだった。それを、もう1年も前のことになるが、ある日突然思い出した。そういえば、そういう 変な ユニークな卒業式だったなあ、と。

 ちょうどいま、まさに同じ小学校に通っている甥っ子がいるので、今年の正月に帰省したときに、その甥っ子にいまでもこの「歌う卒業式」が残っているかどうか尋ねてみた。しかし「そんなものは見たことも聞いたこともない」との返事。
 やはり、あんな押し付けがましい歌を、しかも全校で何度も練習させなければ成立しないようなやり方は今どき難しいのだろうな、と思いつつも、どうも少し寂しいような気がしていたのだった。

 そして月日は少しだけ過ぎたある日、会社の近くの立飲み屋でのこと。立飲みやといっても、最近ちょっと持て囃されているような種類のものではなく、正真正銘の昔ながらの立飲み屋である。
 となりで飲んでいた顔馴染みの客(うら若き女性、秋田県出身)が、「カラオケに行きたい」とか「自分は歌うのがとても好きだ」という話を始め、その話題で盛り上がったあまり、ひとりで、なにやら大きな声で歌い始めた(そういう店です)。よくよくその歌を聴いてみると、それがどうも聞き覚えのある旋律、聞き覚えのある歌詞。

 うらーらーかーにぃー 春のひぃかぁりーぃが 降うってくーる
 良い日よー 良い日よー 良い日 きょうはー
 さくっらよー 薫ーれー、鳥も歌えー

 「何で知ってるの、その歌」と思わず叫んだ。

 その後は、2人で「卒業式の歌」の合唱大会。

 僕はそのときまで、あの 変な ユニークな卒業式は僕の母校のオリジナルなのだと、何となく思っていた。
 甥っ子が「そんなの知らない」と言ったとき何となく寂しかったのは、あれがいつのころからか母校が連綿と続けてきた伝統の式だったのにそれを行わなくなったのだ、と思ったからだが、実はそれほど 変な ユニークなものだったわけではなく、どうやら誰かが作った基本形があり、それをたまたま我が母校は採用していただけだったということらしい。

 僕が思っていたよりも、そうした学校は多いらしく、あとでネットで検索してみたところ、結構ヒットした。

 そして、極めつけはここですな↓

http://www8.tok2.com/home2/nemurosea/04.3.19.sikika.html

 少なくともこの学校では、昨年の卒業式はこの方式でやったようだ。音声も聞けるので、暇をもてあましている方はぜひどうぞ。
 (僕の記憶では、この他にもう少し歌があり、さらには途中で「仰げば尊し」やら「蛍の光」やらも挿入されていて、もっともっと長かったと思う。) 

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コメント

えー、URLをお知らせ下さるということでしたが、待切れずに検索かけて探しちゃいました。
先日はどうも、ほんとに助かりました。
積ん読本を撲滅……。
わたしには絶対に不可能事ですね。
なにはともあれ、今は年末ベスト選び用に、今年の読み逃し本を必死で読んでます。ふう。
また覗かせて頂きま〜す。

投稿: Northfields | 2005-11-13 14:27

Northfieldsさま

お役に立ててなにより。

>URLをお知らせ下さるということでしたが

すみません。落ち着いたところで連絡をもらったらと思っていた。mixiに来れば、ここのURLも見てもらえるようにもなっているし。
わざわざ探してもらって申し訳ない。

>積ん読本を撲滅……。
わたしには絶対に不可能事ですね。

ま、僕も本気で考えちゃいません。
ときどきは覗いてやってください。

投稿: maimai | 2005-11-13 23:17

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