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2005-11-17

長谷川眞理子に蒙を啓かれる 

『クジャクの雄はなぜ美しい? 増補改訂版』 長谷川眞理子 紀伊國屋書店

 15日読了。
 この著者は、難しいことを易しく説明するのが上手だ。
 かつて、動物行動学でいう female choice の訳語として定まったものがなかったので、「(メスによる)選り好み」という言葉を使ったが、ほかの男性の研究者たちは、「相変わらずむつかしい漢語を使うのが好きらしく」、この訳語は普及せず、現在一般的には「配偶者選好性」という言葉が使われているそうだ。
 「選好性」より「選り好み」の方がよほど分かりやすいよなあ。っていうか “choice” がなぜ「選好性」?

 この本は「自然淘汰」と並んで生物進化の原因とされる「性淘汰」、中でも多くの種でオスをメスよりも美しく、あるいは派手な姿にする要因とである「メスによる選り好み」に関する啓蒙書。実に優しい言葉で書かれていて、文字通り蒙を啓かれる。

 13年前に著者は同じ題の本を出した。そのときには、クジャクのメスはオスの尾羽の目玉模様の数で交尾するオスを選んでいるという、注目すべき研究結果が出つつあり、その本の中でも紹介されていた。
 その説はしばらくの間、定説のように思われてきたが、徹底した調査を行った結果、目玉模様の数と「選り好み」の間には相関がないことが分かってきたという。

 ほかにも、当時分からなかったことがこの間に明らかになってきたり、新たな疑問が提示されたりと、この13年間で状況がずいぶん変わったので、今回新版を出すことにしたのだそうだ。なにしろ標題となっているクジャクの雌雄二型に関する部分からして全面的に違っているのだから、ほとんど別の本といって良いくらいの変更が加わっているらしい。

 それほど、この分野はいまホットなのだ。
 評価は★★★

 ただし、この著者には、内容が少し重複するが
 『オスとメス=性の不思議』(講談社現代新書)という、もっと分かりやすい本があり、初めて読む人はこちらの方が良いかもしれない。

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