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2005-10-22

『アムニジアスコープ』 スティーヴ・エリクソン

 自伝的要素が強い作品とのこと。
 エリクソンの他の作品とはずいぶん毛色が違うように思う。そこで描かれる世界が、現実と比べて奇妙な歪みを見せるのはいつも通りだが、今回その歪みは少し単純な形をしている。そのすべてが主人公「私」の内面に収束していくように見えるためで、つまり、作中の奇妙なロス・アンゼルスはそのまま「私」の心象風景と受けとめて読める。その分リーダビリティが高いように思う。

 笑ってしまうような場面が頻出するのも、本書が他のエリクソン作品と比べて際立っている点だ。しかしそのギャグはサイレント映画のように静かで、かつ「静か」とのみ形容してしまうにはあまりに破壊的だ。

 読んでいて、村上春樹を少し連想した。それと、不思議なことにボリス・ヴィアンも。

『アムニジアスコープ』 スティーヴ・エリクソン/柴田元幸訳 集英社

 

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